トライアスロンみたいな己の限界と向き合う競技を趣味にしていると(あらためてみると、大変なもの趣味にしちゃったもんだ…)、いつのまにか自分の食事にも意識がいくようになります。これはわたしのような40歳のおじさんにはとても良いことですね。暴飲暴食ダメ絶対!
で、プロ選手や強豪アマがどんなものを食べているのかアンテナをはったところ、たびたび見聞きするようになったのが「ミューズリー」や「くたくたミューズリー」といった言葉です。
主に自転車競技の世界で流行っている食事のようなのですが、なにがそんなにいいだろう?と興味を持ち始めました。
どうやらこれ、巷では「オーバーナイトオーツ(Overnight Oats)」という名で人気が高まっている、ヨーロッパ発の食事法のようだと分かりました(「くたくたミューズリー」は自転車界独特の言い回しですね)。
気になったことはやってみよう!の精神で、自分なりにこのオーバーナイトオーツを作って食べてみたところ、うむなかなか良い感じです!
まず朝の貴重な時間が節約できる!
栄養バランスも悪くない。
そして、超絶美味!というわけではありませんが、特別まずくもありません。毎日食べても飽きのこないシンプルな味です。
というわけで、今回はこのオーバーナイトオーツ、意識高い系じゃない人にもかなりおすすめですよ!という話です。
目次
そもそも「オーツ?ミューズリー?」言葉の意味がわからない…
まずは言葉の整理をしておきましょう。
というのも、シリアル食品には、聞き覚えのあるコーンフレークやグラノーラ、昔ながらのオートミール、いま話題のミューズリー、といろいろな種類があるからです。
そもそもシリアル食品とは、トウモロコシや麦などの穀物を主原料とした加工食品を指します。
では、主なシリアル食品を簡単に紹介します。
オートミール
オートミールの「オート」は、オート麦の「オート」です。
オートミールは、オート麦(オーツ麦とも。日本語で燕麦)のもみ殻を取り除き、蒸してからローラーで押しつぶし、乾燥させた食品です。
100%オート麦。いたってシンプル。混ざり物一切無し。
ミューズリー
ミューズリーは、オート麦をローラーでつぶして押し麦にしたものに、ドライフルーツやナッツ、種子類を混ぜた食品のことです。
スイスで健康食として開発されました。基本的に砂糖などの調味料は入っておらず、素材本来の甘みしかありません。
グラノーラ
フルグラでおなじみのグラノーラは、これまたオート麦をローラーでつぶして押し麦にしたものに、ドライフルーツやナッツ、蜂蜜、メープルシロップや植物油をミックスして、一度オーブンで焼いた食品です。
なんだか健康食っぽい顔して売られてますが、めっちゃ甘く、高カロリー。ご飯というよりはお菓子。
コーンフレーク
最後に、子供はみんな大好きコーンフレーク。これは原料がトウモロコシですね。
トウモロコシを蒸して押しつぶして乾燥させたものです。日本では最もポピュラーなシリアル食品でしょう。
シリアル食品の分類をわかりやすく図解したものです。
まず主原料が、オート麦かトウモロコシかで分かれます。
そしてオート麦を原料としたものの中では、オートミール→ミューズリー→グラノーラの順で加工の度合いが高まっていきます。
オーバーナイトオーツ
オーバーナイトオーツは、「一晩浸したオート麦」という意味です。
つまりは、上記のオートミール、もしくはミューズリーを、牛乳や豆乳、ヨーグルトなどに漬けてふやかしたものです。ちなみに添加物の多いグラノーラは使いません。
で、なんで一晩浸しとくの?
さて、オーバーナイトオーツはその名の通り、朝食として食べる場合、前日の夜から牛乳などに浸して、くたくたにしておくところがポイントです。
なぜそんなことをするかと言うと、乾燥した押し麦はそのままじゃ食べられたものじゃないからです。そのままでもさくさくとおいしく食べられるコーンフレークとはちがいます。
いや、絶対食べられないわけじゃないですけど、固くてぱさぱさして味のない何かでしかありませんから、単なる罰ゲームになります。
ですので、オートミールやミューズリーはなべで煮るのが基本です。古くからヨーロッパではミルク粥として好まれてきました。
しかし現代社会では、朝からコトコト悠長に煮ている時間はない!という人も多いですよね。
そこで一晩水分を吸わせておくことで、火を使わなくてもおかゆ風のほどよい食感になるのです。
後で詳しくレシピを紹介しますが、わたしはさらに食べるときレンジでチンします。これで結構やわらかく、それでいてむちむちした食感になりますよ。
で、なんでオーバーナイトオーツはアスリートに人気なの?
このオーバーナイトオーツが、食に対する意識が一般ピーポーとは段違いのアスリート(主に自転車選手)に人気なのには理由があります。流行の発信源、栄養バランスなどに着目し、その理由を説明しましょう。
オーバーナイトオーツを愛するアスリートたち
「overnight oats athlete」とかで検索すると、欧米のランナーやスイマー達の間でこの食事法が浸透していることがわかります。
ただし日本では自転車乗りを中心にオーバーナイトオーツが広まっている理由を探ると、どうやらその震源地はチームSKYにあるようです。
ここ数年、ブラッドリー・ウィギンスやクリス・フルームを擁して、ツールドフランスで無敵の強さを誇っていたイギリスの自転車チーム・SKY(スポンサー変更にともない2019年5月よりチームineosとして活動)。
その強さの秘密は、徹底した合理性の追求でした。トレーニングも栄養補給も休息もすべて科学的な知見に基づき、最も効果があると思われる方法を導入してきたのです。
そのチームSKYが食事に採り入れたのが、シリアルのお粥でした。
SKYの栄養士長Nigel Mitchell氏は「お粥は自転車乗りにとって素晴らしい朝食だ」「栄養学的に完璧だ」「炭水化物と健康的な脂質、たんぱく質を含んでいる。そして水溶性食物繊維も豊富であり、消化のためにも良い」「低GIでエネルギーをゆっくりと供給してくれるから、レースやロングライドの前に最適なのさ」と語っています。
「Cycling ride food: Oats」参照
ここで語られているのは、別に一晩浸したオートミールではありませんが、おそらくこうした情報を知った意識の高い国内選手たちが、欧米流行のオーバーナイトオーツという形で取り入れ始めたものと思われます(多分に推測を含みます)。
さらに、プロ選手ではありませんが、アマチュアレーサーの頂点を決めるツールド沖縄で、もう何回勝ってるんですかというぐらいの強さを誇るアマチュアレーサー高岡氏も、オーバーナイトオーツをを好んで食べているようです。
また過去にこれまたアマチュアヒルクライマーの頂上決戦と言える乗鞍を制覇し、今も40歳半ばにして若手選手としのぎを削っている走れる自転車店長筧五郎(通称・56)氏も、ブログを見る限りオーバーナイトオーツを常食している様子。「くたくたミューズリー」の命名者はおそらく五郎さんでしょう。
オーバーナイトオーツの優れた栄養バランス
オーバーナイトオーツに用いる押し麦(オートミールやミューズリー)は、オート麦を丸ごとつぶしたものです。
何がポイントかというと、これが健康食でおなじみの玄米と同じく全粒穀物だということです。
この記事を読んでくださるような方は当然ご存知でしょうが、パンやパスタの原料となる小麦粉は、小麦の表皮(ふすま)や胚芽を取り除いて、真っ白な胚乳の部分だけを製粉したものです。
これに対して、全粒穀物は皮や胚芽もすべて含んだものですから、ビタミン類、ミネラル、タンパク質、食物繊維などが圧倒的に多いのです。
これは、精米した白米と精米前の玄米の違いと同じですね。
参考までに、オートミールの栄養成分をまとめておきます。
オートミール:1カップ 80gの栄養成分
【総カロリーと三大栄養素】
エネルギー 304kcal
タンパク質 10.96g
脂質 4.56g
炭水化物 55.28g
【ビタミン】
ビタミンE 0.48mg
ビタミンB1 0.16mg
ビタミンB2 0.06mg
ナイアシン 0.88mg
ビタミンB6 0.09mg
葉酸 24μg
パントテン酸 1.03mg
ビオチン 17.36μg
【ミネラル】
ナトリウム 2.4mg
カリウム 208mg
カルシウム 37.6mg
マグネシウム 80mg
リン 296mg
鉄 3.12mg
亜鉛 1.68mg
銅 0.22mg
セレン 14.4μg
モリブデン 88μg
【その他】
食物繊維 7.52g
これを見ても分かる通り、オートミールは炭水化物だけでなくタンパク質もかなり多く含んでいます。
もちろんそれだけでは十分なタンパク質の摂取量になりませんが、オーバーナイトオーツは牛乳などを加えるので合計すると悪くない数字になります。
また、マグネシウム、鉄などのミネラルが多く含まれていることがわかります。
そして食物繊維が多い!これによってエネルギーがゆっくりと吸収されるようになり、血糖値の乱高下が抑制されますし、何よりお腹が減りません。
オートミールのGI(グリセミックインデックス、食後血糖値の上昇度を示す指標)は55です。
GI値が70以上の食品を高GI食品、56~69の間の食品を中GI食品、55以下の食品を低GI食品と定義しますので、主食としては珍しい低GI食品と言えるでしょう。
ちなみに玄米のGIは56(ギリギリ中GI)。食パンは91(高GI)。精白米は84(高GI)です。
遠征先で火が使えなくても作れる
オーバーナイトオーツが選手にも人気なのは、遠征先で火が使えない環境でも、問題なく作れる手軽さがあるでしょう。
レベルは違えど、トライアスロンの大会に出るために地方に行くと、このありがたみがわかります。
トライアスロンの朝はとても早いので(朝6時前に宿を出る、みたいな感じ)、たとえ旅館に泊まったとしても、通常の朝食にはありつけません。
ま、宮古島とか大会の歴史が古いところでは、宿のご厚意で対応してくれる場合もあるようですが、普通は無理ですよね。
そんな時に、前日シェイカーのようなボトルに、オーバーナイトオーツを仕込んでおけば、胃腸にもやさしく、時間をかけずに食べられる、ありがたい朝食になるのです。
どうです、やってみたくなったでしょう?
オーバーナイトオーツの食べ方・作り方(レシピ)
もはやレシピというほどのこともないのですが、一応わたしはこうしてますというやり方をご紹介します。
材料
- オートミール(もしくはミューズリー)50g
- 豆乳(牛乳嫌いなので)150g
- オリーブオイル 1かけ
- 塩 1つまみ
※ためしながら量は調整してください。
レシピ
- 深めの皿にオートミールを入れて牛乳をかける。
- 一晩おく。
- 食べると時に電子レンジで2分加熱。
- オリーブオイルと塩をかける、以上。
少し甘みが欲しかったら砂糖小さじ1杯ぐらい追加。
オリーブオイルはなくてもいいが体にいいので。
気分を変えたくなったらシナモンパウダー。
味を変えたくなったら味噌小さじ1杯ぐらい(豆乳なら当然合います)。
実際に朝食として食べ始めた感想
さて、実際に作ってしばらく食べ続けている感想をまとめてみます。
- 調理(というほどでもない)が死ぬほど簡単。
- 朝あっためるだけなので、時短。
- 低GI効果で午前中お腹すかない。
- 言うほどまずくないし、味は工夫できる。
- ミューズリーを使うと、かなりうまい。
- (結論)完全に定番化しました。
調理(というほどでもない)が死ぬほど簡単。
レシピを見てわかるように、はかりに皿をのせて、オートミールいれて、豆乳いれて、あとは冷蔵庫に入れておくだけ、と死ぬほど簡単です。
ただし、電子スケールと入れやすいシリアル容器は必須です。
電子スケールは、皿をのせた状態を0gにして、オートミールを入れて、またその状態で0gにリセットして、ということが簡単にできるからです。
また、ビニール袋に入れた状態のオートミールはかさばるし、注ぎにくいし、でストレスがたまります。保存用密閉容器にうつしてしまえば、取り出しも注ぐのも楽ちんになります。
朝あっためるだけなので、時短。
朝はいそがしいですよね。
早朝にトレーニングをするならなおさらです。
でも電子レンジでチンするだけで、すぐ食べられるので、どんなに時間がなくてもしっかりと朝食がとれます。
夏場、冷たいまま食べるのでもよければ、さらに時短!
低GI効果で午前中お腹すかない。
オートミールは全粒穀物ならではの、GI値の低さが魅力です。
白米や食パンなどの高GI食品は、食後にガッと糖質が腸で吸収され、一気に血糖値があがりますが、オートミールは食物繊維が緩衝剤となって、じわじわと時間をかけて糖質が吸収されていきます。
つまり、腹持ちがいいということで、昼までお腹が空かないことを実感しています。
言うほどまずくないし、味は工夫できる。
「味が無い」「まるで鳥のエサ」などといわれる、オートミールやミューズリーですが、言うほどまずくないですよ。
むちむちぷちぷちした食感もいいですし、素朴な味が逆に飽きなくていいです。
わずかに塩気を足して食べていますが、気分を変えたい時は砂糖をひとかけしたりしています。
また味噌で和食っぽくしてもいいですし、ジャムで甘みを足すのもいいでしょう。
時短にならないのでやってませんが、本来はバナナやブルーベリーなどのフルーツを入れて食べるようです。ここまでやったら、もう完全におしゃれでおいしい朝食ですね。
ミューズリーを使うと、かなりうまい、
シンプルにオートミール、というのもいいのですが、ミューズリーを使うとまた別物になります。
ミューズリーは、オート麦をローラーでつぶして押し麦にしたものに、ドライフルーツやナッツ、種子類を混ぜた食品のことです。
と最初に説明しましたが、プルーンなどのドライフルーツが一晩水分に浸しておくことで、朝になるとプルップルに戻っています。
はっきり言っておいしいので、オートミールでは味気ないという人はミューズリーを試してみてください。
(結論)完全に定番化しました。
正直わたしのレシピだとめちゃくちゃおいしい、というわけでもありませんが、一番大事なことは継続できることです。
その点、手間がほとんどかからず、食べるのも楽で、片付けも(皿ひとつなので)楽で、栄養もとれるオーバーナイトオーツは、わたしの中で完全に朝食の定番となりました。
オーバーナイトオーツを始めたい人におすすめの市販商品
オーバーナイトオーツを始めたいと思ったわたしが、ぶち当たった壁が商品の少なさでした。
近所のスーパーにいっても、シリアルといったらケロッグコーンフレーク様か、フルーツグラノーラ、あとはその類似品ばかりで、余計な加工のしていないオートミールやミューズリーって本当に見つからないんですよね。
業務スーパーでも同じようなものでした。
でも、今はネットで何でも探せる素晴らしい時代です。
わたしもスーパーで探すのはあきらめて、Amazonで次に紹介するような商品を定期購入しています。
完璧なパワーフードを作りたいならミューズリー
ミューズリーは、オートミールにナッツ類やドライフルーツを追加したものです。
オートミールだけでもバランスのいい栄養素が摂取できますが、ナッツ類が加わることによって、さらに良質な脂質もとれるようになります。
ですから、時間が無くても完璧な栄養バランスのいわゆるパワーフードを作りたいなら、ミューズリーでオーバーナイトオーツを作ることをおすすめします。
様々な素材がふんだんにブレンドされていて、それでいてコスパのよいオススメのミューズリー商品がカントリーファームのフルーツナッツミューズリーです。
原材料:オート麦フレーク、小麦フレーク、レーズン、ライ麦フレーク、ライスフレーク、ひまわりの種、コーンフレーク(とうもろこし(遺伝子組換えでない)、砂糖、食塩、麦芽エキス)、ココナッツ、カシューナッツ、アーモンド、ヘーゼルナッツ
栄養成分表示:100gあたり エネルギー 370kcal、たんぱく質 11.4g、脂質 7.9g、炭水化物 67.5g、ナトリウム 16mg、食物繊維 8.2g
シンプルな味を求めるならオートミール
ミューズリーよりも安価なのが、オートミールのよいところ。
これだけでも、なかなか優れた栄養がとれますからね。
オートミールなら、絶対ど定番のクエーカーが間違いありません!わたしも基本これです。
おじさんの顔がトレードマークのやつです。時々もみ殻も混ざってるけど、まぁ本当に麦をそのまま押しつぶしましたって感じで良し!
まずお試しならこれぐらいのサイズがいいでしょう。慣れたらお徳用の特大サイズで。
まとめ[アスリート食に限定するのはもったいない!いそがしいビジネスマンや食物繊維をとりたい女性にもおすすめ]
オーバーナイトオーツについて熱く語りました。
もう一度そのメリットをまとめると、
- 炭水化物(糖質)だけでなくタンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維がとれる。
- 腹持ちがいい。
- 調理時間ほぼなしで、忙しい朝にうれしい。
- シンプルな味なので、飽きがこない。
- 超おいしいわけでもないので食べ過ぎることもなく、太らない。
- 火が使えないところでも、作ることができる。
お口に合うかどうかは個々人の味覚によるので、とりあえず一度作ってみることをおすすめします!
さて、今夜も朝食分を仕込んでおくか。
私、AmazonのKindle書籍として
『アラフォーからのトライアスロン』を出版しました!
内容を一言で言うと、館山トライアスロン挑戦記です。
読み終わったら、あなたは必ずトライアスロンをやりたくなる!!
というわけで、ぜひ試し読みしてみてくださいね。
追記:Kindle Unlimitedなら読み放題で読めます。