わたしのお気に入りサドルSELLE SMP Formaをご紹介します。
一風変わったルックスで「合わないかも…」「セッティング難しそう…」とか敬遠されがちなサドルですが、使ってみるともう元には戻れないほどはまります。
実際に走って分かったその魅力と、セッティングのポイントなどを詳しくご説明します。
目次
SELLE SMPってどんなサドル?
100%イタリアンメイドの老舗サドルメーカー
Made only in Italy.
Sold all over the world.
これがSELLE SMPのキャッチコピーです。
そう、100%イタリアンメイドのサドルなんです。
サドルに使う材料はすべてイタリアで調達され、サドル一つ一つもイタリアはヴェネト州のパドヴァにある自社工場で手作りされています。
これは、SELLE SMPが70年以上サドル一筋に作り続けてきた老舗メーカーであり、その品質に徹底的にこだわっていることを意味しています。
局部圧迫を解消する穴
SELLE SMPのサドルは中央に穴が開いています。
これが重要です。
通常のサドルですと、局部(尿道)が押し付けられて痛みを感じます。
それを避けようとして、骨盤を立てて乗る人がいます(わたしも完成車についていたサドルを使っていた時はそうでした)。
これだと、上体が起きて空気抵抗の大きい無駄なフォームになってしまいます。
かといって、無理やり骨盤から上、腰椎だけを湾曲させると腰を痛めてしまいます。
ですから、理想は自然に骨盤を前傾させることなんですが、痛みがあるとそれができませんよね。
また局部を圧迫して血流を阻害するのも、百害あって一利なし。
自転車の血流障害はEDのリスクファクターであると言われています。
楽しく乗っている自転車で、そんな目にあうのは勘弁してほしいですよね。
SELLE SMPは尿道があたる部分に穴が開いているので、デリケートな箇所がぎゅうぎゅう圧迫されることがありません。
使ってみると、その解放感はやみつきになります。
骨盤が面でフィットするエルゴノミックデザイン
ただし、穴開きサドル(もしくは溝があるサドル)は近年ほかのメーカーからもたくさん発売されています。
それだけ、血流障害の問題が認識されてきたということでしょう。
しかし単純に穴を開ければいいというものではありません。
なぜなら、穴を開ければ、それだけほかの部分に荷重がかかることになるからです。
SELLE SMPのサドルはとても特徴的な形状をしています。
波打つように、先端から中央にかけて大きくへこみ、後方は上にせりあがっています。
これは非常に計算されたエルゴノミックデザインです。
前傾した骨盤がフィットする形になっているので、穴が開いて局部に荷重できなくなった分を、うまくお尻全体で受け止めることができるのです。
SELLE SMPのサドルは基本的に2タイプ[FormaかComposit]
SMPのサドルをいざ見てみると、おそろしく色んなモデル名が出てきて面くらいます。
でも、難しく考える必要はありません。
大きく分けて2種類のベースの形があります。
FormaかCompositの2つです。
幅が広いか狭いか、座面のRが強めか弱めか、です。
あとは、それにパッドの量がどれだけあるか、でモデル名が変わるだけです。
そして、ぶっちゃけ競技志向で走っている人は、パッド多めは必要ないので、検討するのは次の4つのどれかでいいと思います。
(1) Forma
パッドなし。幅がやや広め、座面のRがゆるめ
(2) Composit
パッドなし。幅がやや狭め、座面のRがきつめ
(3) DYNAMIC
ベースがFormaで少しパッドが入ったもの
(4) BLASTER
ベースがCompositで少しパッドが入ったもの
この中でわたしはFormaを選びました。
パッドなしタイプを選んだ理由は後述します。
SELLE SMPを使うメリット
それでは、わたしが実際に使って感じたSMPサドル(Forma)のメリットを挙げてみます。
骨盤を前傾させても尿道が痛くない
穴開きサドルの利点ですね。
わたしはトライアスロンをやるので、DHバーをつけて上体を低くするような乗り方をします。
骨盤から前傾させれば無理なくこのフォームになるのですが、通常のサドルですと尿道が圧迫されて痛くてたまりません。
SMPサドルはその痛み、不快感がないので、非常に快適です。
クッションが無いのにお尻が痛くならない
「サドル沼にはまる」という言葉があるように、サドルは合う合わないがあります。
わたしは合わないサドルだと、座骨が痛くなって耐えられません。
骨盤の二つの尖った部分とサドルが当たってしまうんですよね。
定番サドルのフィジークアリオネなども試したのですが、座骨が痛くて50kmももちませんでした。
それがSMPサドルだと痛みが出ません。
SMP Formaは、クッションがまったく無いのに不思議に感じました。
手で触ってみると、カチカチしているんですよ。
これこそSMPの真骨頂エルゴノミックデザインのなせる技ですね。
尖った座骨が真下ではなく、やや後ろを向くように骨盤を寝かせた状態にすると、サドルの座面のRにぴったりはまります。
こうすると、座骨などどこか一部で体重を受けることがなくなるので、走っていても不思議なほど痛みがでません。
クッションがないので逆に自分の姿勢を意識できる
わたしがクッション無しタイプのFormaを選んだのには理由があります。
それは、クッションが無いことで、サドルに対して骨盤がどのように当たっているのか、どれぐらい傾いているのか、どの辺りに座っているのか、などを敏感に感じとれるという利点です。
それまではトライアスロン専用のCOBBのサドルを使っていたのですが、SMPのサドルにして驚きました。
こんなに骨盤の傾きなどをビビッドに感じとれるのか!と。
クッション性があるとたしかに快適ですが、お尻の感覚ははっきり言ってぼやけます。
自転車の走り方を洗練させていく上でこれは大きな障害になります(それで何年もやっていたわたし…)。
いまはSMP Formaに座りながら、微妙に骨盤の前後位置や傾きを調整しながら走るので、日々発見があって楽しいです!
イタリアンサドルならではのルックス
SELLE SMPのサドルをつけると、バイクの印象がガラッと変わります。
鷹のクチバシのような鋭いノーズ、美しい曲線を描きながら、せり上がる後方部。
「むむ、こいつやるな!」と見る人に思わせる(笑)、戦闘的かつシャープな出で立ちになります。
実物を手に取ると、作りの良さが実感できます。
サドルを覆う革にも高級感があり、自転車のパーツという範疇を超えて所有欲を満たしてくれます(ここらへんは完全に自己満足!)。
そして強く主張したいのが、カラーバリエーションの豊富さ!
年によっても展開するカラーが変わったりもしますし、ほかのメーカーにない特徴ですね。
(本国のサイトをのぞいてみてください)
わたしは、こだわりのネイビーです!
と言っても黒以外のカラーはなかなか実店舗に置いてないですし、代理店にも在庫がないことがあります。
Amazonでも楽天でも気になるカラーがあったらゲットするのも手ですね。
\こんなのとか!/
他にも、よくサドルを観察すると、中央部分の穴の内側にイタリアカラーの刺繍が。こんな誰にも気づかれないところに…。くー、にくらしい演出です。
また購入時にサドルについているタグがお洒落です。
このまま付けておこうか、とも思ったのですが、シートポストにつけたリアライトを遮ってしまうので、仕方なく取りました。
ルックスでこれだけ語れるサドルってなかなかないですよね?
SELLE SMPのデメリット
そんなSELLE SMPのデメリットについても触れておきましょう。
セッティングが少し難しい
座面がフラットなサドルではないので、取り付け角度など少し勝手がちがうかもしれません。
ただ、体の感度を高めてセッティングをするいい練習になります。
それに、この後説明するようなポイントだけおさえれば全く難しくありません。
価格が決して安くはない
わたしが購入したSMP Formaは、実売価格で25000円前後します。
もっと安価なサドルはもちろんたくさんあります。
でも正直価格に関しては全く高いと思いません!
局部の血流障害の心配がなく、快適に骨盤を預けることができて、安定したペダリングができるようになる(結果速くなる)。
これをどれだけ重要と感じるかどうかですね。
手頃な価格のサドルをあれこれ試して、サドル沼にはまる方が結局高くつきます。
SELLE SMPセッティングの注意点
セッティングのポイント
サドルの前後位置の出し方は基本通りです。
サドルに座ってペダルに足を乗せて、クランクを3時の位置にした時に、ペダル軸が垂直線上にヒザの先端がくるように、サドルの前後位置を調整します。
フラットサドルだと、サドルのどこに座るかでヒザの位置もだいぶ変わってしまうのですが、SMPは基本的に座る部分が決まっているので(もちろん全然動けないわけではない)、このサドル前後位置の調整もやりやすかったです。
次に傾きの調整です。ここが大事。
通常の座面がフラットなサドルは、座面を地面と平行にするのが基本中の基本ですよね。
では、座面がカーブしているSMPのサドルはどうしたらいいのか?
サドル後方の上端とサドル先端から続く盛り上がりの上端をつないだ線が、地面と平行になるようにするんです。
これを基本として、若干前下がりにするかどうか、ここは走りながらペダリングのしやすさを基準に調整しましょう(わたしは気持ち前下がりにしています)。
ちなみに、数字を基準にせず、自分の感度を高めながらバイクのセッティングをするやり方は、竹谷賢二氏の著書『ロードバイクの作法』がとても参考になります。
読み返す度にはっとさせられます。
角度調整ができるシートポストが必要
さて、上記のようなセッティングをするためには、サドルの台座となるシートポストが重要になります。
というのも、ご覧の通りSMPサドルで理想の傾きを出そうとすると、サドルのレールはかなり前上がりになります。
この角度を実現できるシートポストでないと、SMPの本領が発揮できません。
わたしはショップで選んでもらったDEDAのシートポストにサドルを取り付けていますが、これならばっちり角度が出せます。
セッティングが難しそうで敬遠されがちなSELLE SMPですが(わたしも変わり種だと思っていた)、やってみると全然難しくありません。
上記のポイントを押さえておけば、必ずしもショップでフィッティングを受けなくても、自分でセッティングできます。
というか、専門家に「これが正解!」と言われて「はい、そうですか」で終わるよりも、自分で確かめながら調整していった方が経験値が増えて、その後の微調整がしやすくなります。
ポジションは常に変わっていくのですから。
というわけで、「近くのショップでSMPサドルを扱ってない!」とか、「サドル購入と本格的なフィッティングをセットにしたら高すぎる…」とかで、二の足を踏まなくていいと思います。
ネットで探して気に入ったやつを買って、自分でじっくりセッティングしてもいいんですから。
「イタリアンメイドの秀逸サドルSELLE SMP Formaレビュー」まとめ
いかがでしたでしょうか。
自分がお気に入りのサドルなので、熱く語ってしまいました。
いや、ほんとオススメです!
私、AmazonのKindle書籍として
『アラフォーからのトライアスロン』を出版しました!
内容を一言で言うと、館山トライアスロン挑戦記です。
読み終わったら、あなたは必ずトライアスロンをやりたくなる!!
というわけで、ぜひ試し読みしてみてくださいね。
追記:Kindle Unlimitedなら読み放題で読めます。