【巡航速度35km/hへの道】も5回目となりました。
今回はみなさん大好きFTPテストの話ですよ!
さぁ、パワトレ初心者の結果やいかに?
これまでの流れ[目指せバイク巡航35km/h!]
トライアスロンバイクパート40kmを35km/hで走り切りたいと夢見るわたし。
その試行錯誤を公開しちゃえ!と始めたのが、この企画【巡航速度35km/hへの道】です。
第3回「一進一退でも5km弱なら35km/h!」では、ガムシャラに自己流で走っても速くならないな、という思いが強くなりました。
そこで前回第4回「ロードバイクのフィッティングサービス初体験@サイクルショップMattino」では、思い切って専門家のフィッティングサービスを受けてみました。
この時、痛切にその必要性を感じたのが、パワーメーターでした。
そして覚悟を決めてお小遣いをかき集め(前借りもして…)、パイオニアのペダモニを導入しました。
ペダモニ導入の詳細は「Pioneerペダリングモニター導入!【高価なパワーメーターは必要?必要!!】」をご覧ください。
ペダモニをつけてから、しばらくはただ乗るだけでも、ベクトルやワット数が刻一刻と変化するのが面白くて、バイクのモチベーションは急上昇(あるあるですよね?)。
そうこうするうちに、サイコンの扱い方にも慣れてきましたし、データをパソコンやスマホアプリで見る方法なども一通り理解できました。
そして、自分が普通に踏むとこれぐらいの数字が出るのかな、というのも何となく見えてきました。
そこで、いよいよ次のステップに進むことにしましたよ。
そうです。FTPテストです!
パワトレの指標FTP
FTP(機能的作業閾値パワー)とは
自転車乗りがよく口にする「FTP」。
パワーメーターを持っていない時は、自分に関係ないものとしてあまり勉強していませんでした。
パワトレをしている人は、みなさんご存知でしょうから、まぁ簡単に。
FTP(Functional Threshold Power : 機能的作業閾値パワー)とは、その人が1時間出し続けることのできるパワーの最高値です。
FTPを超えたパワーで踏むとすぐに疲れ始め、その少し下のパワーであれば維持できるというギリギリのラインです。
FTPは自転車乗りの体力の基準となるものです。
FTPを調べることで自分のレベルがわかりますし、練習の強度をどれぐらいにすればいいのかを割り出すことができます。
自分の走力を把握するため、そしてトレーニングの方向性が合っているか確認するためにも、定期的にFTPテストをすることがすすめられています。
FTPの平均ってどれぐらい?
さて、テストをやる前から気になるのは、みんなFTPってどれぐらいなの?というところ。
「自分は自分。他人の数字なんてどうでもいいだろ」
はい、おっしゃる通り。そう思う人はたぶん強くなります。
つい、隣の芝生を見てしまうわたしのようなタイプはなかなか成長しません。
て、分かってはいるんですけどねぇ。
ペダモニ一式を購入、セッティングしてもらったサイクルショップマティーノの店長いわく、
だそうです。ふーん。
ただ、もう一つ言われたのが、
ただしそうは言っても、FTPを上げないと始まらない部分も勿論ある。
えーと、結局どっち?
まずはやってみろってことかな(全然わかってない男)。
FTPテストのやり方
『パワー・トレーニング・バイブル』に書かれているFTPテスト法
ペダモニ導入を決めてすぐに購入したのが、パワトレの不朽の名著『パワー・トレーニング・バイブル』(ハンター・アレン、アンドリュー・コーガン共著、OVERLANDER発行)。
この本では、FTPの調べ方がいくつか紹介されています。
・トレーニングデータを専用ソフトで吸い上げて、パワー分布図から検証する方法(持続時間に対してパワーが急激に落ち込むところを見つける)
・高強度長時間の練習でコンスタントに出ているパワーを調べる方法
・約1時間のハードなレースの標準化パワー(NP)を調べる方法
・単純に1時間のタイムトライアルを行う方法
・数秒から30分まで各時間の全力走のデータに基づくクリティカル・パワーから割り出す方法
うーん、初心者にはどれも難しそうだぞ…。
でも大丈夫です。『パワー・トレーニング・バイブル』にはさらにわかりやすいFTPのテスト方法が解説されています。
これが一般的によく紹介される方法ですね(結局みんな典拠はこの本ということか)。
ざっくり説明しますと
(1)ウォーミングアップ(本には高回転ペダリングを入れるなどいろいろ詳しく書かれています)
(2)5分全力走(脚ならしの意味とVO2maxの計測を兼ねている)
(3)10分楽なペース
(4)20分のタイムトライアル(ここがFTPテスト本番!)
(5)クールダウン
以上で終了です。
20分間全力で走った時の平均ワットから5%引いた値が、ずばりFTPです。
20分間ひいひい言いながらようやく出せたパワーから、5%引いただけのパワーをはたして1時間も出し続けられるのか、感覚的には超しんどい気がするんですけど、まぁそういうもんだと解説されています。
FTPテストは室内ローラーと実走どちらがオススメ?そのメリット・デメリット
さて、上記のFTPテストは、実際に外を走って計測する以外に、室内のローラー台でも同じように計測ができます。
はたしてどちらで行うべきか。むむむ。
実走のメリットは、本来の走力に近い値が計測できることでしょう。
デメリットは、20分ノンストップで(しかもかなり必死で)走れる場所を見つけなければいけないことですかね。
テストに推奨されているコースは、ゆるい上り坂です。
なぜなら平坦や下りで高いパワーを出し続けるのは、脚力とはまた別にペダリングスキルも必要とされるからです。
わたしも分かってきましたが、踏めているようで結構スカスカ回していることがあります。
それに比べると、上りは常にトルクをかけていないと進まないので、初心者でも一定のパワーが出しやすいのです。
でも、近くに20分以上止まらずに上り続けられる山がある人って多くないですよね。
あるぜ!というあなた、ラッキーですよ。
それに対して、ローラーによるテストは車も信号も気にせず、決められた時間のあいだ走りに集中することができます。
そういう意味で、テストはローラー台一択という人もいるでしょう。
室内ローラーでテストを行うデメリットとしては、実走に比べるとやや体の使い方が限定され、実際のパワーと相違が出るという点でしょう。
実走に比べるとローラーではパワーがやや低く出ると言われています。
その理由については、『パワー・トレーニング・バイブル』の著書のひとりハンター・アレン氏が、下記のYouTubeで説明しています。
Hunter Allen Training Tips – Indoor vs Outdoor Wattage
で、この内容をPeaks Coaching Groupの中田尚志コーチがわかりやすく解説したものがこちら。
引用させていただきます。
(1)ローラーでワット数が上がらない理由
理由はローラーの種類だったり、空気圧、湿度、精神的負荷・・・etcありますが、一番の理由は負荷のかかり方です。実走に比べてローラーは勢いがつかないため、ペダルストローク1回転の間、ずっと負荷がかかり続けます。
一方実走では上死点・下支点に負荷は集中します。この負荷のかかり方の違いがパワーが低くなったり違和感を感じる理由です。
最近では負荷が実走に近く、自然なフィーリングになってきているものも出てきているものの、だいたいのローラーで実走と比べて20-30wパワーが低くなるのは普通です。
ふむふむ、なるほど。
中田コーチが最後に述べているように、これまでの固定ローラーと比べ、実走に近い走りが再現できるローラー台がどんどん開発されています。
ですので、ローラー台によってはそこまで実走と差が出ないことも考えられます。
現に、わたしが愛用しているGT Roller Flex (Glowtac) は、そこまで大きな差は無い気がします(あくまで個人の感覚ですが)。
これらを総合して、実走とローラーのどちらでFTPテストをするか決めるといいですね。
いざFTPテストにトライ!
時は2018年8月26日。場所は埼玉県は彩湖。
記念すべき第1回目のFTPテストを行いました(おおげさだな)。
FTPテストは室内ではなく実走で行った
上記の通り、バイクの走りだけに集中できるという意味では、室内ローラーに分があります。
でも、今回は外を実際に走って、計測を行うことにしました。
その理由としては、
・ローラーより実走の方がパワーが高めに出るという。
・今後もトレーニングの基本はなるべく外にしようと考えている。
この2点です。
ローラーで低めに出た数字でFTPを算出した場合、そこから各種トレーニングの強度も設定されることになります。
これからは走れる時はなるべく外を走ってトレーニングしたいと思っているので、ローラーで出したFTPに基づくパワーゾーンの設定では、強度不足になるのでは?
そう危惧して、テストは実走で行うことにしました。
残念ながら上り基調ではなく平坦ですが、彩湖は早朝であれば空いているので、20分間周回コースをぐるぐると走ることができます。
彩湖で練習したいという人は、こちらの記事「ロードバイク乗りのための彩湖トレーニングガイド【周回練に最適】」をぜひご覧ください。
上り基調のコースだったら、もっと高い数字が出せたはずだな、ふ(先に言い訳をするな)。
まずは5分全力走!FTPテストに5分走が必要な理由を思い知る
テスト方法にあった通り、ウォーミングアップの後に、まず5分全力走をやらなければいけません。
5分だけがんばる、ということをあまりやった事がないので、どれぐらいのパワーが出るのか、自分では皆目検討がつきません。
とりあえず、サイコンのラップボタンを押して、どりゃー!!!と漕ぎ始めました。
おぉ!
400W!
こりゃなかなかいいかも!?
と思ったのもつかの間、1分経過後
し、しんどい…。あと4分もある…。
はい、見事にたれました。
あっという間にパワーは300W前後をさまよい始めましたよ。
それすら持ちこたえることができず、最後はもう200W前半まで落ち込み、もはや成すすべなし…!無念…!
うーん、見事な右肩下がり…。
結局5分間の平均パワーは266W。NPは273Wでした…。
うーん、5分のペース配分って思ったより難しいぞ。
5分全力走は、突っ込みすぎないように気を付けるだけで、もう少し数字は上げられそうな気がします。
でも、たしかにこれをやらずに、いきなり「さら足」(疲れのたまっていないフレッシュな状態)で20分間のFTPテストをやったら、最初にパワーが出すぎて正確な計測ができないな、と納得したわたしでした。
みなさん、FTPテストをやるなら、しんどくてできればやりたくないですけど、きちんと5分走をやりましょう。
彩湖で20分全力走!
それからレストで脚をしっかり回復させて、いよいよ本番です。
これまでローラー台や外を走ってみた感じで、220Wぐらいを目標にしてみようと決めました。
さぁ、彩湖の周回コースでラップボタンを押し、いざスタート!
20分間ということは、彩湖を2周と少しだなと計算し、何となくペースを調整します。
ちらちらサイコンを見ながら、追い込みすぎないように、それでも休みすぎないように。
ちらっ。
230W。よしよし。
ちらっ。
180W。あわわ、上げなきゃ。
ちらっ。
240W。あらら、上げすぎだ。
と、このように安定しません。
踏み方が雑だからなのと、パワーメータービギナーだからなのか、一定のパワーをきれいに出し続けることがまだまだできません。
(慣れてくるとプラマイ5Wで維持できるらしい。まじか…)
目標の220Wを超えたり、下回ったり、結局どうなってるのかよく分からないまま(ここ反省点)、2周目へ。
もう結構お尻に乳酸がたまってきて、しんどいです…。
3周目は、もう体のあちこちの力をかき集めて、なんとかパワーが落ちないようにするので精一杯…!
垂れてきた…。腹圧だ!
また垂れてきた…。大殿筋だ!
サイコンの経過時間表示を見ながら、あとちょっと!あとちょっと!
20分!
はい、終了!ラップボタンぽち!
ぶはー!ゼェゼェハァハァ。
さて、表示された20分間の平均パワーは?
214W!
あれれ!?220Wいってない!
走りながらサイコンをちら見していた時は、結構上回っていたのにな。
そうです。今回の反省点は、サイコンの表示をリアルタイムのパワーだけにしていたことです。
踏み方にムラがあるわたしは、パワーの上下動が大きいので、リアルタイムのパワーを見た瞬間にたまたま高い数字が出ていると、それで安心してしまうのです。
(大きく上下しているのはアップダウンのところです)
サイコンにはラップ平均パワーを一緒に表示させるようにするべきでした。次回はこれで数字アップ間違いなしだ!
テストの数値からFTPを計算[平均ワットとNPの違いとは?]
思いのほか低かったわたしのFTP…。
さて、20分間がんばって走り切った結果、平均パワーが214W。
そしてNPが220Wとなりました。
平均パワーより微妙に高いこの「NP」とは何でしょうか?
NPとは「Normalized Power」の略で、トレーニングピークスの登録商標です。
日本語にすると、標準化パワー。
計算式はややこしいので、理解しておりません。
実際に走るとパワーは上下動しますよね。
そうした変動を考慮して、もしずっと一定ペースで走れたら出せたであろうパワーのことです。
少し違うかもしれませんが、だいたいそんなもんです。
平均パワーから計算すると、わたしのFTPは203W (体重比3.2倍)。
NPから計算すると209W (体重比3.3倍)。
結構違いますね。
いずれにしても、基本ラインとされる3.5倍にも届いていないというのが現実です。
それが分かっただけでも、一歩前進かな。
1回目のFTPテストを終えて今後の方針
パワトレ初心者がFTPテストをやっても1回ではなかなか正確な数字は出ないといいます。
ペース配分が下手だからでしょう。
『パワー・トレーニング・バイブル』では次のように書かれています。
自転車に乗り始めたばかりの人や長いブランクの後に再び乗り始めた人の場合、トレーニング開始(再開)当初、FTPは急激かつ大幅に向上するでしょう。
「第3章 パワー・トレーニングの始め方」p.77
わたし、はっきり言ってこの一文に期待をしています。
次回は爆上げしちゃうかもしれませんよ!
まぁ、パワトレ初心者というだけで、自転車に乗り始めたばかりではないのですが…。
さて今後の方針です。
FTPがわかったので(NPから計算したやつの方がやや高いので、そちらを採用します)、そこから各トレーニングメニューの強度設定ができるようになりました。
いわゆる「FTPの◯〜◯%」というやつです。
FTPを上げるためにはスイートスポットと呼ばれる「FTPの88〜94%」のゾーンでトレーニングするのが効率的と言われます。
ただ闇雲にそのメニューに飛びつくのはやめとこうと思っています。
来年に向けてトレーニングの年間計画をたてているのですが、それに基づくとまずは基礎期に有酸素域をしっかり鍛えていくことになります。
土台を作るということですね。
FTPの数字を上げる意味では回り道かもしれませんが、スイートスポットのトレーニングはしかるべき強化期が来るまではお預けにしようと思います。
\パワーメーターを買ったらやはりこの本は必須/
パワトレバイブルをチェック
パワーウェイトレシオは気にしない
もうひとつ意識しておきたいことがあります。
体重でパワーを割ったいわゆるパワーウェイトレシオ。
これが3.5倍だ、4倍だ、という話をしましたが、わたしはこのパワーウェイトレシオはあまり気にしないようにします。
ヒルクライムをするなら別ですが、トライアスロンのバイクコースは平坦が中心です。
そして平坦では、体が重かろうがパワーが高いイコール速い、です。
単独走での35km/h巡航を目指すわたしに必要なのは、まさにパワーなのです。
だから極端な話、バイクトレーニングではなく、ガンガンウェイトトレーニングをやって体をデカくして、体重を増やした結果、パワーが出るならそれでもいいのです(パワーウェイトレシオが下がったとしても)。
また、わたしはやせ型なので、パワーウェイトレシオは高めに出る方だと思います(それでも3.5倍にも行かないのですが…)。
そこにすがって「パワーウェイトレシオなら負けないぜ」とか強がっていても、結局スピードは出ていない、というオチになりそうです。
それではいかん!わけです。
あくまでパワーの数字で進捗状況を確認する。
これが現段階でのわたしの方針です(いいのかな、これで?)。
まとめ
というわけで、【巡航速度35km/hへの道】の第5回目はFTPテストをしてみたよ、という話でした。
思ったより低かったFTPに落胆している場合ではありませんね。
これで、的確な強度で日々トレーニングできるようになったわけですから、淡々とやっていきましょう!
次回に続く。
>>【巡航速度35km/hへの道vol.6】「FTPの向上=ロードバイクの走力アップ」ではないと気づく[2回目のFTPテスト決行]
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